Orchestra to Piano: 音楽家の編曲作業分析を基にしたピアノ編曲システム

本研究は,複数パートを持つ譜面を独奏可能な譜面へ変換するための手法を 構築し,自動化することを目標とする.編曲には様々な手法が存在する.例えば,童謡をジャズ調にアレンジすることで,曲調を大きく変化させることができる.また,ロックで構成される楽曲にスト リングスを加えて,曲に厚みを出す場合がある.このほか,独奏者を対象とした編曲も存在する.たとえば,複数の楽器で演奏されている楽曲を,ピアノで独奏 可能にするアレンジがある.これはピアノアレンジとも呼ばれており,邦楽,洋楽,そしてゲームBGMなどをピアノ独奏用に編曲した楽譜が実際に発売されて いる. このように,編曲は音符を追加していく方向のものと,音符を減少させていく方向のものに大別できるが,従来の自動編曲の研究の多くはその前者であった. これに対し,本研究では音符を減少させていく方向の編曲を扱う. 元の譜面には,複数パートを持つオーケストラ譜を用い,それを独奏可能なピアノ譜に編曲することを目指す.ピアノ譜は通常一人で演奏するために書かれたものであるため,複数の弦楽器や木管楽器などで構成されるオーケストラ譜をそのまま演奏することは出来ない. 我々はこれまで,音楽家が編曲を行う過程の時系列分析を行ってきた.時系列分析は,2つの段階からなる.第1段階では,5名の音楽家のオーケストラ譜をピアノ譜に変換する作業を記録した.続いて第2段階として,作業終了後,音楽家が編曲作業を行った過程を詳しく知るために,実験内容に対する聞き取り調査を行った.そのうち良好な結果を得られた2名に対し,詳細な時系列分析を行ったところ,編曲作業には幾つかの問題点が存在し,それに対する幾つかの解決方法が存在する可能性が示された.

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▲画像1:実験風景

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▲画像2:状態遷移モデル

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▲画像3:システム概要

論文

  • Sho Onuma, Masatoshi Hamanaka: PIANO ARRANGEMENT SYSTEM BASED ON COMPOSERS’ ARRANGEMENT PROCESSES, Proceeding of International Computer Music Conference 2010, pp.191-194, 2010. [PDF]
  • 中野倫靖, 大沼翔, 金泰憲, 黒沢佳史, 斉藤優理, 斎藤佳紀, 奥村健太, 田中駿二, 浜中雅俊, 帆足啓一郎, 森山剛, 吉田周平, 吉谷幹人, 安藤大地: “デモンストレーション:音楽情報処理の研究紹介IX”, 情報処理学会 音楽情報科学研究会 研究報告 MUS86-21, July 2010. [PDF]
  • 大沼翔, 浜中雅俊: “編曲作業の時系列分析‐オーケストラ譜からピアノ譜への変換”, 情報処理学会全国大会, 09-IPSJ-71-2, pp.2.227-2.228, March 2009.