本稿では,自動楽曲分析器FATTA(Full-Automatic Time-span Tree Analyzer)に基づき,現在演奏中のメロディ(単旋律)の後続音を予測する手法を提案する. 従来多くのメロディ予測手法では,統計的学習手法に基づいていたために,学習データに含まれていないメロディに対しては適切でない予測となる可能性があっ た. これに対し本研究では,音楽理論に基づきメロディの適切さを評価し予測を行う. 具体的には,音楽理論GTTM(A Generative Theory of Tonal Music)およびTPS(Tonal Pitch Space) に基づき構築した自動楽曲分析器FATTAを用いて,複数存在する後続音の候補に対してメロディの安定度を評価する. 本手法の特長は,メロディの表層構造だけでなくGTTMおよびTPSに基づき 得られる音楽の深層構造を利用してメロディの安定度を評価している点である. 実験の結果,提案手法がメロディの後続音を適切に予測していることを確認した.
- Masatoshi Hamanaka, Keiji Hirata, Satoshi Tojo: Melody Expectation Method Based on GTTM and TPS, Proceedings of the 9th International Conference on Music Information Retrievalconference(ISMIR2008),pp.107-112, September 2008. [PDF]
- 浜中雅俊, 平田圭二, 東条敏: “FATTAに基づくメロディ予測システム”, 情報処理学会 音楽情報科学研究会 研究報告 2008-MUS-76-9, Vol. 2008, No. 78, pp. 45-50, August 2008. [PDF]