本研究では、実在する人間の演奏者を模倣した仮想演奏者と人間の演奏者がインタラクションできるようなジャムセッションシステムについて述べる。 従来の多くのシステムでは、仮想演奏者がどのような振る舞いをするかは、アドホックなルール群等により決定されていたため、ルールのパラメータの調整により異なる個性を設定できても、 実在の演奏者の振る舞いを模倣させることは困難であった。 本研究では、演奏者全員の演奏履歴と、ある演奏者が現在弾いている演奏との関係を統計的に学習することにより、 演奏者の振る舞いのモデル(相手の演奏に対してどのような演奏をするかを決めるモデル)を獲得する手法を提案する。 ギタートリオの演奏を対象とし、 上記のモデルの学習機能を備えたセッションシステムを、入出力にMIDI を用いて実装した。 実験の結果、実際にMIDI ギターの演奏記録から、任意の一人の振る舞いのモデルを学習可能なことを確認した。
- 浜中雅俊, 後藤真孝, 麻生英樹, 大津展之: “Guitarist Simulator: 演奏者の振舞いを統計的に学習するジャムセッションシステム”, 情報処理学会論文誌, Vol. 45, No. 3, pp. 698-709, March 2004. [PDF]
- Masatoshi Hamanaka, Masataka Goto, Hideki Asoh, Nobuyuki Otsu: A Learning-Based Jam Session System that Imitates a Player’s Personality Model, Proceedings of the 2003 International Joint Conference on Artificial Intelligence(IJCAI2003), pp. 51-58, August 2003. [PDF]
- 浜中雅俊, 後藤真孝, 麻生英樹,大津展之: “学習するジャムセッションシステム: 演奏者固有のフレーズの獲得”, 情報処理学会 音楽情報科学研究会 研究報告 2002-MUS-47-13, Vol. 2002, No. 100,pp. 71-78, October 2002. [PDF]
- Masatoshi Hamanaka, Masataka Goto, Nobuyuki Otsu: Learning-Based Jam Session System for a Guitar Trio, Proceedings of the 2001 International Computer Music conference(ICMC2001), pp. 467-470,September 2001.
- 浜中雅俊, 後藤真孝, 大津展之: “学習するジャムセッションシステム:演奏者の振る舞いのモデルの獲得”, 情報処理学会 音楽情報科学研究会 研究報告 2000-MUS-34-5, Vol. 2000, No. 19, pp. 27-34,February 2000. [PDF]