本研究では、ジャムセッションなどで、テンポ一定の伴奏に合わせて演奏された発音時刻から、演奏者が意図する量子化された発音時刻を推定する手法について述べる。従来のビート・リズムの認識に関する手法の多くが拍位置の予測や推定に主眼を置いていたのに対し、本手法では、拍位置が既知という条件下で、発音時刻のゆらぎを取り除く問題を扱う。和音を含むジャムセッションのMIDI 演奏をクォンタイズするため、我々は、発音時刻の遷移とゆらぎを隠れマルコフモデルでモデル化する手法を提案する。演奏記録を統計的に学習させて実験した結果、市販のシーケンスソフトウェアの機械的なクォンタイズより性能が良く、モデルが有効に機能したことが示された。
論文
- [PDF] Masatoshi Hamanaka, Masataka Goto, Hideki Asoh, Nobuyuki Otsu: “A Learning-Based quantization: Unsupervised Estimation of the Model Parameters”, Proceedings of the 2003 International Computer Music conference (ICMC2003), pp.369-372, October 2003.
- [PDF] 浜中雅俊, 後藤真孝, 麻生英樹, 大津展之: “発音時刻の楽譜上の位置を確率モデルにより推定するクォンタイズ手法”, 情報処理学会論文誌, Vol.43, No.2, pp.234-244, February 2002.
- [PDF] Masatoshi Hamanaka, Masataka Goto, Hideki Asoh, Nobuyuki Otsu: “A Learning-Based Quantization: Estimation of Onset Times in a Musical Score, World Multiconference on Systemics”, Cybernetics and Informatics 2001 (SCI2001), Vol.X, pp.374-379, July 2001.
- [PDF] 浜中雅俊, 後藤真孝, 麻生英樹, 大津展之: “学習に基づくクォンタイズ: 発音時刻の楽譜上の位置の推定”, 情報処理学会 音楽情報科学研究会 研究報告 2001-MUS-40-4, Vol.2001, No.45, pp.21-28, May 2001.
- [PDF] SCI (5th World Multiconference on SYSTEMICS, CYBERNETICS AND INFORMATICS) in Art最優秀論文賞(文献3)